教員インタビュー:荒木 茂
学生時代から、現在まで
幼少の頃から、土、大地が好きだった。昆虫採集に加えて、化石掘りをしていた。北大は理類といって、農学、工学など、医学、獣医、水産以外の学部に、入学後に決めることができた。
大学入学時はなにをしたいというのは決まっていなかった。農学部では、「国民を養うために農業はいかにあるべきか」ということを叩き込まれた。卒業後、大塚化学に務め、仕事はハウスの植物に水やりなど研究職ではなかったので、休みの日は、四国中を土採集してまわった。
もうちょっと、勉強したいと思い、京大に編入した。京大は自分で機会を見つけると、自由にやらせてくれるところだったので、よかった。それで、当時、熱帯土壌の研究が進んでいたヨーロッパのベルギーに留学した。そこでは、ヨーロッパ人やらアフリカ人やらのたくさんの友人ができ、現在も仕事で交流がある。一人で海外に滞在することは、このとき初めてだったので、本当にいい経験をした(カルチャショック)。。向こうで、講義を受けたり、土壌の解析をしたりし、帰国後、D論を書いた。
82年から3年間助手を務め、86年に京都大学アフリカ地域研究センターができた際に参加し、現在にいたる。
専門分野の魅力
土壌の知識と人類学を結びつけ、つまり自然や大地とその上に住む人をともに考えることをしている。言ってみれば、地学とフィールドワークの融合。これにより、大地や土地の未来を考えることができると思っている。
アフリカで研究する魅力
一言で言えば、アフリカの人・自然の「強靭さ」。ひ弱な近代の枠組みではなく、原点に戻って「自然」を捉えなおすことのできる場である。
アフリカセンターの魅力
様々な人々が議論できる「総合性」だろう。さらに、いいかげんな知識ではなく、フィールドで得たデータをもとにした上での議論ができる場。
学生に対する期待
「自分で何をしたいのか?」という「自分」をしっかり持ちつつ、人の話に耳を傾けること。つまり、自分を核に持ちつつ、視野を広げていくこと、言わば「外柔内剛」。
京大のいいところは、先生が偉くないことと、学生が自由なところ。こんな大学は他にない。それを生かすも殺すも君たち次第だ。
受験生へ一言
若い人でないとできないことがある。
アフリカの新しい発見をするのは、君たちだ。
趣味
音楽鑑賞(クラシック、ジャズ、ロックなんでも。最近アナログレコードの音の良さに驚嘆している)。学部生時代はチェロをやっていた。