原田 英典 准教授

教員インタビュー
  1. ホーム
  2. 教員インタビュー
  3. 原田 英典 准教授

原田 英典 のプロフィール >>

*インタビュアー:T

T:本日はよろしくお願いします。こちらに3つのトイレが置いてありますが、それぞれについておしえてください。

原田:左の黒いやつは、私がスウェーデンでの留学から帰国するときに持ってきたものです。このトイレは本来はキャンプやアウトドア用のものです。これは大便と小便を分離するトイレですが、スウェーデンのサマーハウスなど、下水道がない場所などで使用するためのものです。

真ん中のトイレは、東日本大震災が起きたときに、何人かの研究者と緊急で開発したし尿分離のポータブルトイレです。右のトイレは、真ん中の改良版の試作品です。真ん中のトイレの元になる初期モデルは、身近に手に入りそうな便座やバケツやジョウロなどの材料を使って、震災発生から4、5日後には自宅で手作りしてました。安定感はそんなによくなかったけれど、一応それでも機能するので、被災地の何かの役に立たないかと、すぐに作り方マニュアルを大学や研究室のホームページに載せました。そこから他の研究者と一緒になって、改良をかさねました。

それがこの真ん中のトイレです。


このトイレはプラスチック段ボール製です。トイレって、その後が大事なんです。仮設トイレがあっても、汲み取りが十分できない状況でたくさんの人が使えばすぐにタンクがいっぱいになって使用できなくなります。トイレはそれだけでは役に立たず、その後を考えないといけないんです。大便と小便を分けることでトイレのその後の始末を簡単につけられるトイレとして、2011年の5月にこの真ん中のトイレを持って東北へいきました。現地の多くの地域ではすでに仮設トイレが設置されていましたが、地面に穴を掘ってブルーシートで囲ったトイレもまだ一部で使われていました。仲間の研究者と一緒に、このトイレを54個、被災地の社会協議センター、老人ホーム、大学などに、再び余震が来るなどしてまたトイレが使えなくなる時の備えとして寄贈しました。折りたためて備蓄しやすいし、邪魔になりません。いざという時にしばらく使い続けられます。この成果は日本水大賞のグランプリ受賞にもつながり、秋篠宮殿下に謁見させていただきました。

T:尿や便をどのように対処していたのですか?

原田:このトイレでは尿と大便が分離されます。便は臭いがして、放っておくと腐敗して厄介なので、何かしら乾燥しているもの、例えば灰を便にかけます。pHも上がるので灰がいいのですが、灰が手に入らない時は乾いた土を消石灰とまぜて灰の代わりとしても構いません。便座の下に設置するビニル袋か、直接小型のバケツに排便して、灰をかけ、その後はポリバケツに捨てます。し尿中の病原性微生物のほとんどは便中にいるので、便だけちゃんと集めて封じ込めれば感染症を防ぎ、人間の健康を守れます。尿を処理しないともちろん環境に負荷はありますが、この時は緊急事態だったので未処理での放流も可としました。尿は大便と混ざらないと、臭いもだいぶましです。

実は、トイレって水を使うことがある意味では厄介なんです。ぱっと考えたら水と衛生って繋がらないように思えますが、排泄物を水を使って流すと、身の回りの水を汚します。現在の多くのサニテーション技術は水に依存しています。大便はそれだけだとある程度固形状ですが、尿と混ざったものは量が増えて液体、汚水になります。さらにこれを流すことに水を使えば、汚水の量はもっと増えます。水はサニテーションに役立つけれど、水とサニテーションが合わさってさらに水を汚すことにも繋がるんです。

サニテーションに関して、あるエピソードがあります。カメルーンの狩猟採集民が暮らす森に行った時に、「ここにトイレは必要ないのではないか?」と思ったことがあったんです。彼らの暮らしは密集していなくて、排泄時にはふと居なくなって、広い森の中のどこかで済ませてくるそうです。この環境下で、人が病原性微生物に出会う可能性はそれほど高くないかもしれません。「健康を維持できる排泄環境、し尿の始末をつける意味でサニテーションは必要だろう。しかし、かならずしもトイレがなくても、サニテーションを実現できることもあるのではないだろうか。」と考えることはありましたが、それを実感を持って考えるきっかけになりました。

他にも狩猟採集民たちは、生活のためにあまり水をあまり溜めないことに驚きました。水が必要なときに川へいき、いつも新鮮な水を手に入れていました。アジアやアフリカの都市では、水源から水を汲んできて溜めることが一般的です。でも実は、水は溜めると簡単に汚れるんです。井戸を使っている多くの地域において、井戸の水は綺麗でも、家で溜めている水は汚れている場合が多いんです。川の水は汚れやすいのでその意味では脆弱ではあるけれど、同じ川の水を使うなら貯めずにすぐに使ったほうが健康リスクが低い可能性があって、その意味で、狩猟採集民のライフスタイルから衛生習慣の多様な意味が見出せるかもしれないと感じましたね。

写真 カメルーンの森の水場(左)と飲料水源での採水(右)

T:原田先生の生い立ちやバックグラウンドをおしえてください。

原田:私は京大工学部の地球工学科環境工学コース出身で、上下水道や廃棄物処理、水質管理について学びました。学部4回生のときにはし尿分離トイレから尿だけを集めて、尿中のリンから肥料を生成する研究をしていました。これが私のはじめての研究です。

修士課程は京大の地球環境学舎に進学しました。この研究科はインターン研修が必修で、私はベトナム農村の貧困集落にし尿分離トイレ(下のYoutubeを参照)を導入しようとしていたNGOで半年ほど活動しました。


自分の研究していた「し尿分離」に関連する技術を実際に現地に入れようとするNGOの活動に興味を持ったんです。NGOでの経験は私にとってはとても重要なものでした。その集落は電気、ガス、水道もないところでした。私が住んでいた小屋にも自分でトイレを建てました。朝起きて井戸で水を汲んで顔を洗うんですが、その井戸がすごく浅いんです。その一方で、家にトイレがない人たちがその井戸の周りに数多く暮らしていて、野外で排泄してます。次第に水と衛生のつながりやサニテーションが生活に与えるインパクトについて、自分ごととして考えるようになりました。

T:ベトナムの調査で印象的だった出来事はありますか?

原田:村の滞在で印象的だったのは、友人の小さな赤ちゃんが亡くなったことです。何が原因だったかという詳細は分からないです。でも、当時の僕はただただ主観的に、衛生状態が悪いことをその原因と関連づけて考えていました。「ここで普段会う人たちはとても元気だけれど、もし私ここで生まれていたら、ちゃんと生き残って大きくなれただろうか?」と考えました。どこまで衛生的ならいいのかっている問いがありますが、主観的な評価だけれど、自分がそこで生まれて元気に生きられるくらいの衛生環境を実現したいと思うようになりました。

また、NGOの活動としてトイレを導入する活動を私自身が現場指揮していたのですが、トイレを導入する家の人にいろんなことを聞かれます。そのうちいくつかは私の知識で答えられることもあるけれど、自信を持って答えられないことも多く、もっと専門知識があったらと思うことばかりでした。この集落での滞在を終えて日本に帰るころには、「博士課程へ進学して、専門知識をつけて、将来はこの分野の研究者か実務者になりたい。」と思っていました。この村での暮らしは、私のその後の研究の原体験と呼べるものですね。

写真 ベトナムで実施したトイレの講習会
T:原田先生はどのような大学院生でしたか?

原田:当時僕がいた環境工学の分野では、海外ばかり行っている「変わった人」だったでしょうね。それもあってか、「元気な人」だとも思われていたでしょうね。大学院生の時もそうだし今もそうですが、基本的にいつも楽しくやってます。

T:違和感のようなものを感じていましたか?

原田:それはありませんでしたが、周りとちょっと違うものを見ている感覚はあったように思います。私と同じようなことをやっているわずかな研究者と、「日本にいてもあまり話す人がいないよね・・・。」とこぼしてもいました。でも、周りから大事な研究だと認めてもらっているとも思っていました。

ポスドクの2007年にスウェーデンへ留学した時や、助教だった2014年にスイスに留学した時は、途上国の水・衛生専業の部署にいたので、そこにいる誰もがアジアかアフリカの水・衛生のことをやっていて、話が尽きることもなく、とても楽しかったですね。本当に留学してよかったです。自分の研究分野の先導的機関に一時的にでも身を置き、研究への取り組み方、進め方、研究以外も含めた物事の考え方が違う環境のなかで過ごし、とても勉強になりました。スイスには幼い子供二人を含め家族連れで行きましたが、家族を含めいろいろな経験をして、みんなでとても楽しい時間を過ごせました。留学は、本当におすすめします。

T:スイスの思い出はどんなことがありますか?

原田:スキーをしたり、同僚と4000メートル超の雪山登山をしたり、子どもたちとサンタクロースが乗るようなソリで何キロも山を滑り降りたりしていました。私は学生時代に体育会のスキー競技部に所属してクロスカントリースキーをしていたものですから、スキー部の仲間からはとても羨ましがられましたね。今でも雪山が好きなんです。それならどうしてアジアやアフリカなんだとよく言われますけどね(笑)。

T:原田先生の趣味はなんですか?

原田:趣味といえばスキーで、家族でもよく行きますが、冬以外はよくキャンプへ行ったり、子供を背負って山登りをします。バーベキューも好きです。子どもが4人いるので、キャンプとか、アウトドアの遊びは子供も楽しいし、大家族には経済的にも良いですね。バーベキュー好きはスイス生活の影響をかなり受けています。スイスの公園には公共のグリルやバーベキュースペースがあって、みんなよくバーベキューを楽しむんです。

T:ご自身を振り返って学部・大学院時代に必要なことはありますか?

原田:何でもいいから、何かに没頭することでしょうか。学部時代、私はスキーばかりしていました。この経験は今でもいろいろ役立っていると感じています。フィールド調査をする上での体力もつきましたし、合宿に慣れているのはフィールド調査で長期滞在するのに通じている気がします。何かにひたすら没頭することはとても有意義なことだと思います。没頭した経験は自分の強さになります。真剣にやればやるほど、何かにぶち当たったときは苦しいですが、直接は報われなくてもその頑張りはどこかできっと自分に返ってきます。自信にもつながります。若い人には何かに没頭して、フィジカルな意味だけではなく、ものごとに取り組む上での広い意味での基礎体力をつけてほしいです。博士課程時代は、そういう対象を見つける時なのかもしれません。

T:これまで原田先生が研究で関わってこられた国はどちらですか?

原田:ベトナム、バングラデシュ、マラウィ、ザンビア、ウガンダ、タイ、中国、スリランカ、マリ、ケニア、カメルーンです。

T:アジアからアフリカまで様々な国がありますが、どのような経緯でアフリカにつながったのですか?

原田:最初の対象はアジアでした。ただ、基礎的な水・衛生としての問題の主たる対象地域は南アジアとアフリカといっても過言ではないので、そうした国で研究したいという思いは当初からありました。はじめてアフリカを訪れたのは2007年で、スウェーデンに留学しているときにマリへいきました。スウェーデンのトラベルクリニックでワクチン接種をして、スウェーデンチームの一員として初めてアフリカに2週間ほど渡航しました。留学から帰国したあとも、ベトナム時代に関わっていたNGOや国際機関の縁でアフリカと関わることがありました。スイスに留学したときには、明確にアフリカでの水・衛生の研究を進めようと思っていて、アフリカでの研究活動が活発な留学先を選びました。そうこうして、今は自分の科研でもアフリカのプロジェクトを二つしていますし、共同研究しているプロジェクトでもアフリカに関わっています。私が今、アフリカで主にフィールドとしているのはザンビアとマラウィです。ただ、水・衛生問題の解決を考えようとしてアフリカに入ってきたので、どの国か、ということに強い必然性はないかもしれません。アジアは今もやってます。

T:ザンビアでは具体的にどのようなことをされているのですか?

原田:ザンビアでは都市スラムの水・衛生改善や下痢リスクに関する調査やアクションリサーチをしています。サニテーションは公共性があるものではあるけれど、本質的にすごく個人的なものであって、地域の人たちが自らサニテーションを持とうと行動することが本来の姿だと思っています。例えば、「携帯電話は買っても、トイレにはお金をかけない、建てない。」ということがよくあります。彼らにとってサニテーションの優先度は高くないんです。でも、トイレがないことで間接的に失うものは健康・お金を含め多くあります。トイレをつくる活動はある意味で未来の健康、地域の健康、そして自分と地域自体への投資でもあるんですが、それを実感することは難しいです。サニテーションの難しさの本質的な問題がここにあると思っています。水・衛生、特にサニテーションの効果は見えにくくて、時間的にもすぐに出るものではない。だからサニテーションによる健康改善のモチベーションは湧きにくいんだと考えています。私の研究では、いろんな工夫をしながら水・衛生環境を地域住民が自分で定量化し、「見える化」することで、水・衛生の効果を実感し、自ら水・衛生を改善し、下痢リスクを低減しようと思えるような仕組みづくりをしています。この活動は都市スラムのエコクラブに所属する若者たちと一緒にしています。彼らが水・衛生とその健康影響の参加型調査にとても意欲的なのを見ると嬉しいですね。調査をするときに、飲み水が危ないと思って水道水の大腸菌を調べて何も出てこなくても、コップから出てくることは多いんですが、こうした経験から、飲料水や食べ物だけでなく、水・衛生により生活環境を衛生的にする意義を彼らが実感することが活動の狙いの一つです。水・衛生と健康の関係の見える化を目指して、活動をパッケージ化し、スマホやタブレットを用いてもっと簡単に実施できるアクションリサーチの方法論としてまとめようとしています。

写真 ザンビア・ルサカ都市スラムの水場(左)と大腸菌のコロニー(右)

T:マラウィでは具体的にどのようなことをされているのですか?

原田:マラウィでは、NGOが過去に1000基ほど導入したし尿分離方式の農業利用型トイレの長期的な受容性の研究をしてきました。この成果を含めたこれまでの成果を活用しながら、ある集落を対象として、し尿の肥料としての価値をうまく活用し、農家の生計を向上させ、それと共にサニテーションを普及できないかと考えています。地域のコンストラクターや現地の研究パートナーと私自身も喧々諤々の議論をしながら、トイレのデザインを考えたり、利用方法を検討したりします。実際にプロトタイプのトイレをいくつかの家庭に建設し、利用してもらいながら改良し、どうやったら意欲的に、効果的にし尿を利用し、衛生的な環境を実現できるかについて取り組んでいます。過去に実施したこのタイプのトイレの受容性研究から、多くの人々は大便は農業に利用するけれど、尿はあまり農業に利用しないことがわかりました。これは、公衆衛生の行政官の多くが考える、「人々は排泄物は使わない。特に大便は使わない」という傾向とは違います。ただし、肥料の主要な元素である窒素・リン・カリウムの多くは大便ではなく、尿中にあるんです。尿に窒素が多く含まれるのは、尿素やアンモニアなどからも想像できるはずです。残念ながら、人々はし尿の農業利用の意欲はあっても、尿に肥料価値認識をあまり持っていませんでした。毎日大量に出る尿の利用は負担もあり、臭いの問題もあります。この問題を解決して、負担なく効果的に尿を使える仕組みをつくり、し尿の肥料としての価値を高め、農家の生計向上、そしてサニテーションの普及につなげようとしています。

写真 マラウィでのトイレ建設
T:アクションリサーチを通じて何か考えが変わったことはありますか?

原田:私は工学部出身で、何かを開発し、そうして開発した技術を導入するアプローチは自然なものでもあります。いっぽうで、モノをつくって導入するアプローチだけでは限界があることも感じるようになりました。導入しても使われない、あるいは次第に使われなくなるトイレは世の中には実は多くあります。水・衛生の改善は一筋縄ではなく、単に技術を導入する、すなわちハードなアプローチだけでは限界があると感じるようになりました。ハードなモノがどうすればその地域に馴染んでいくかを考えるなかで、ソフトなアプローチの重要性を強く感じ、その実践としてザンビアの地域の若者と、水・衛生と健康の関係の見える化アクションリサーチをするようになりました。そういう考え方の変遷がある中でアクションリサーチに入っていったので、これを始めたから考えが変わったというわけではないですが、ソフトなアプローチの重要性、というよりむしろ可能性を一層強く感じています。ただ、私のアプローチは完全にソフト化しているわけではなく、ソフトな部分にテクノロジーといったハードを活用したりもしています。例えば、ザンビアでも測定や解析を支援するためのデジタルツール(アプリ)を一緒に開発したりしています。

写真 ザンビアでのワークショップ
T:それは原田先生がアフリカ専攻に来られたこと何か関連しているのですか?

原田:そうですね。私がアフリカ専攻に着任が決まったとき、ちょうどそういうタイミングだったのかなと思いました。研究を始めた頃は技術の開発とその導入が対象でしたが、カメルーンで「そもそもトイレがなくてもサニテーションは成立するのではないか?」と感じたり、ハードなアプローチからソフトなアプローチに関心が広がり、それを研究課題にし始めたタイミングでアフリカ専攻へ着任が決まりました。巡り合わせなのかなと思いましたね。

T:今後の研究の展望についておしえてください。

原田:今後はソフトとハードの両方をつなぎながら、水・衛生の現状を見える化し、自分事として感じることで行動につなげ、全体をうまく回していくための仕組みをつくりたいです。その視点として、人と環境のインタラクションは見ていきたいです。衛生問題も含めて、環境問題というと人間が環境に一方的に負荷をかけているように見えますが、環境に応じて水・衛生には多様なあり方があり、環境から人間への影響も大いにあります。さらに、人間—環境—社会のインタラクションも見ていきたいです。例えば衛生サービスは、本来自分の家庭で発生した衛生的リスクを、誰かに何らかリスクを被ってもらって運搬し、処理してもらっているとも捉えられると思います。汲取をする人や、下水管掃除をする人、下水処理場で働く人など、トイレの先にリスクを移動させていると言えなくもないです。アジアやアフリカでは、汲み取りトイレのし尿がとても不衛生に汲み取られることが多いのですが、社会のなかで水・衛生のリスクがアンバランスに負担されているとも考えられます。社会的な関係のなかで水・衛生のことを見ていくのも重要だと感じています。そうした視点を持ちつつ、研究成果の社会実装にも積極的に取り組みたいです。科研費などでの研究をベースとしつつ、今もビルゲイツ財団の支援を受けながら都市衛生の社会実装研究をしていますし、JICAの事業にも参加してますが、こうした活動は一層進めたいですね。

T:アフリカ専攻に着任して感じたことをおしえてください。

原田:アフリカ専攻はゼミがすごいですね。一人の発表に対して長い時間を使いますね。時間無制限(?)勝負ですごいと思います。発表後にはあらゆる分野のバックグランドを持った人からとことん質問が出ますよね。アフリカ専攻はそういう時間を大切にしているんだと思います。発表する学生さんは大変に思うかもしれませんが、これはとてもいいと思いますね。

アフリカ専攻は教員一人あたりの学生数も少ないため、じっくり手厚い指導が受けられますね。何より、みんなアフリカに関する研究の第一線を様々な立場で走っていて、アフリカのことを研究する上でこんなに贅沢なところはないと思います。あとは、アフリカ専攻が入っている稲盛財団記念館は、立地場所が素晴らしいですね。目の前に鴨川が流れ、眺めがよく、とても気持ちがよい場所です。疲れたときにはすぐ鴨川に行ってリフレッシュできます。毎日くる場所なので、環境の良さも大変魅力的ですね。


写真 研究室から鴨川を臨む

T:着任する前にもっていたアフリカ専攻のイメージと変わったことはありますか?

原田:アフリカ専攻は研究室という概念があまりないことに驚きました。横のつながりがしっかりしていると感じます。想像していた以上にみんなが一体的ですね。それと、学生の自分の研究に対する自立心が比較的高いと思います。私が前にいたところではチームで研究をするので、学生はチームの一員と言えます。その点、アフリカ専攻の学生は、自分の研究に自分自身で責任を持って進めていて、自立しているように見える人が多いですね。もちろん個人差はあると思いますけれど。

T:原田さんのもとで研究したい学生へ何かメッセージをお願いします。

原田:アフリカの水・衛生に強い関心がある人は、一緒に研究をしましょう。私自身はいわゆる理系ですが、基本的に入ってくる時の文理は問いません。水・衛生を専業でやっている人は日本にはそれほどいませんが、世界では多くの研究者がこの課題に精力的に取り組んでいます。また、水・衛生そのものに加え、もう少し広い範囲で、水環境、健康リスク、廃棄物などに強い関心がある人もウェルカムです。学生さんには自分の研究対象や事象が「日本ではどうなのか」ということはぜひ知っておいてほしいです。アフリカで研究をすすめていくうえでも重要な視座になります。いずれにしても、とことん対話をし、面白い研究をしましょう。そして、せっかくやるなら成果をしっかり国際的に発信し、世界中の水・衛生に関わる一線の研究者たちと切磋琢磨し、競い合えるような研究をしましょう。そういう気概のある学生さんを待っています。

T:最後にアフリカ専攻を志望する人へメッセージをお願いします。

原田:アフリカのことをしたいなら、こんなにいいところはないよ!

T:今日はどうもありがとうございました。

教員インタビュー >>