私の現在の職場は、経済の知識をコアにしながら国際展開できる能力を身につけることを目指す学科です。この国際展開という部分に関連して、「現代アフリカ論」や「国際協力論」、「人類学」などの授業を担当しています。
研究では、大学院時代からのタンザニアのフィールドでの活動を継続しています。農村部の環境荒廃や経済の停滞に対して、その実態を詳しく捉えるとともに、新しいかたちの資源利用をフィールドの人びととともに実践的に試行しています。
アフリカ専攻は、学際を地で行くように、教員も含めさまざまな学問分野を出身とする人が集まっていました。
私は農学部出身で農村開発に関する研究を志向していたのですが、ゼミや研究室で、それまで触れることのなかった思いがけない視点から議論を持ち掛けられることが頻繁にありました。そこから自分の専門以外の分野にも関心を持つ態度が身についていったと思います。
とくに人類学に近い人たちと議論することで、価値観の押し付けや、短期的に得られる成果を求めがちという、開発支援/開発研究が陥りやすい点を相対化できたことは貴重であったと考えています。
フィールドで実践的な研究活動を進めていくには、さまざまな事象に目を配ることがとくに必要とされますが、アフリカ専攻でのこうした経験は現在の取り組みのための基礎体力を作り上げてくれたと思います。